むしろ潤っている? 制裁下で17年ぶり高成長 知られざる「北朝鮮経済」の実態 (1/3ページ)

朝鮮人民軍戦略軍の中長距離戦略弾道ミサイル「火星12」発射訓練の成功を喜ぶ、金正恩朝鮮労働党委員長(右から2人目)。日時は不明。朝鮮中央通信が9月16日報じた(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
朝鮮人民軍戦略軍の中長距離戦略弾道ミサイル「火星12」発射訓練の成功を喜ぶ、金正恩朝鮮労働党委員長(右から2人目)。日時は不明。朝鮮中央通信が9月16日報じた(朝鮮中央通信=朝鮮通信)【拡大】

 挑発を強める北朝鮮が、国際社会の圧力にもかかわらず着々と経済力をつけている。昨年はなんと17年ぶりの成長率を達成し、今年も9月末現在で貿易総額が2桁の伸びを記録する勢いだ。生活水準も向上し、背景には依然太い中国とのパイプや、アフリカなどでの活発な経済活動がある。知られざる北朝鮮経済の実態をリポートした住友商事グローバルリサーチの片白恵理子シニアエコノミストは「制裁はかつてほど効いてない」と警鐘を鳴らしている。

 2006年10月に最初の核実験を断行し、加えて相次ぐ日本海へのミサイル発射など、韓国や日本など近隣諸国への挑発を強める北朝鮮に対し、国連は安全保障理事会で制裁決議をたびたび採択してきた。中国やロシアなどかつての北朝鮮の友好国も、トランプ米政権に背中を押され、最近は制裁に同調する場面も目立つ。

 北朝鮮はさぞや苦境にあると思いきや、片白氏は「実際は制裁に対する抜け道があり、北朝鮮経済はむしろ潤っているようだ。(「トンジュ」と呼ばれる)新興富裕層も存在するほど平壌など都市部で生活水準が向上していると伝えられている」と8日に発表した調査リポートで指摘した。

 韓国の中央銀行である韓国銀行の推計によると、北朝鮮の16年の実質成長率は3・9%と08年以降初めて3%を超え、1999年の6.1%以来、17年ぶりの大きな伸びを記録した。

リーマン・ショック後に成長