【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領のアジア歴訪中の8日、ベトナムで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加国の首脳・閣僚会合が開かれるが、トランプ政権内にTPP再加入を検討する兆しはうかがえない。通商政策に関して、米政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や、韓国とのFTA再交渉を最優先としているためだ。
「TPPを終わらせた。やがて皆さんが感謝してくれる。誇りに思っている」
先月下旬、トランプ大統領は米テレビのインタビューでこう話し、これまで何度も「最悪の協定」と批判してきたNAFTAと並べて、TPPを攻撃した。
トランプ氏は、過去の政権下で結ばれた通商協定により「米国民の雇用が奪われた」と述べ、メキシコ、カナダと結ぶNAFTAを見直す再交渉を開始した。
特に多国間協定に背を向ける姿勢は変わらない。最近では世界貿易機関(WTO)が「米国以外の国のために設立された」(トランプ氏)などと述べ、WTOにも矛先を向けている。