【中国を読む】自由貿易の旗手目指す 三菱総合研究所・猪瀬淳也 (1/2ページ)


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 中国の輸出の回復が続いている。2017年9月までの輸出額は、元ベースで前年同期比12.4%(ドルベースではプラス7.5%)の増加となり、投資とともに中国経済を牽引(けんいん)する要因として、成長を続けている。具体的に輸出が増加した品目を見てみると、携帯情報端末(パソコン)や電子部品、携帯電話、玩具などの以前から中国が強みを持っていた品目が中心。HSコード(国際貿易商品の名称・分類を世界的に統一した6桁のコード番号)の上2桁の「類」で見ると、中国が強みを持っていた電気電子製品などの輸出が、2年前の水準に回復したことによる成長という見方が妥当であろう。

 ◆高付加価値品も堅調

 一方、世界の輸出に占める中国の割合は、高付加価値製品・低付加価値製品ともに増加している。このため、中国からの輸出はダンピング(不当廉売)などで問題となっている低付加価値製品とともに、携帯電話をはじめとする高付加価値製品も堅調に増加しているとみられる。

 輸出相手国の構成はほぼ変わっていないが、米国向けが増加し続けている点は注意が必要だ。対米輸出は9月までの累積で前年同期比11.5%増の3091億ドル(35兆2620億円)となり、過去最高の水準となっている。トランプ米大統領は鉄鋼製品のダンピングや知的財産権の侵害を行っているなどとして中国の貿易慣行の調査を通商代表部(USTR)に指示したが、このような逆風の中で輸出が拡大しているとあって、今後も堅調に輸出が増え続けると捉えるのは楽観的といえよう。

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