比、首都圏中心に洪水対策 日本は総額462億円の3事業支援

 フィリピンは、マニラ首都圏を中心に洪水対策に注力する。同国の台風の直撃回数は年平均で20回ともいわれており、天候が原因の洪水がマニラをはじめ全国各地で頻発している。政府は諸外国や国際機関からの支援を受け、対策事業を加速させたい考えだ。現地紙マニラ・ブレティンなどが報じた。

 同国のマーク・ビリヤール公共事業・道路相によると、フィリピンは洪水対策で日本政府との連携を強化する。日本が支援するのはマニラ首都圏のパラニャーケ放水路整備事業、北部ルソン島のカビテ工業地域洪水対策事業、南部ミンダナオ島のダバオ川流域整備事業の3件で、事業総額は210億ペソ(約462億円)となる見通しだ。

 パラニャーケ放水路整備事業は、100億ペソを投じて9.2キロ(うち3.3キロがトンネル部)の放水路を整備する。現在は国際協力機構(JICA)が事業可能性調査を実施中で、早ければ来年着工する。22億3000万ペソを投じるダバオ川流域整備事業も18年3月までには事業可能性調査を開始するという。カビテ工業地域洪水対策事業は、地域内の住宅7000戸を洪水から守るために3河川の流域556万平方メートルを整備する。同相によると、今年11月にもJICAが事業への融資を承認する見通しだという。

 また、マニラ首都圏では総額5億ドル(約569億円)の洪水管理プロジェクトを始動させる。資金はアジアインフラ投資銀行(AIIB)と世界銀行がそれぞれ2億763万ドル、フィリピン政府が8474万ドルを拠出する。

 同プロジェクトではマニラ首都圏の総面積の約17%に相当する111平方キロを選別し、既存のポンプ場36カ所を近代化するほか、新しいポンプ場を20カ所追加する。その他にも固形ごみの水路への廃棄低減、整備の影響を受ける世帯や共同体の移転支援などを実施する予定だ。(シンガポール支局)