金融庁、本業不振の地銀検査へ 経営改革促進、再編判断も

 金融庁が、融資などの本業で収益を上げられず経営改革が進まない地方銀行に対し、検査の実施を検討していることが20日、分かった。検査を通じて経営陣と対話し、持続可能なビジネスモデルへの転換を促す。金融庁が地銀の収益構造を調べるのは異例。本業で稼げない経営者は他行との再編を含め、厳しい判断を迫られることになりそうだ。

 人口減少や日銀のマイナス金利政策の影響で地銀を取り巻く経営環境は厳しい。金融庁はこれまで地銀の経営判断を尊重してきたが、地域の金融仲介機能を維持するためにも、改革が進まない地銀には早期に経営改善を求めて行く必要があると判断した。

 金融庁の試算では、2017年3月期に全体の5割超の地銀が融資などの本業で赤字となっており、安定的な収益構造を築くのが喫緊の課題だ。日銀の金融政策により金利は歴史的な低水準で推移し、貸し出し利ざやは縮小。国債など保有する債券から得られる利益も将来的に低下していくとみられている。

 金融庁はこれまでも地銀に対し、持続可能なビジネスモデルへの転換を求めてきた。だが予想以上に地銀の収益低下が著しい中、金融庁が積極的に経営改善に関与する方針に転ずる。どの地銀を検査対象にするかは今後、検討する。東京証券取引所などに上場する地方銀行82社(持ち株会社を含む)の17年4~6月期決算は、全体の5割超に当たる46社が、前年同期と比べ減益か赤字となっている。