8月14日、米ワシントンのホワイトハウスで、301条に基づいて中国による知的財産の侵害の実態を調査するよう命じる覚書に署名する前に、報道陣に向けて話すトランプ大統領(ロイター)【拡大】
【ワシントン=塩原永久】米通商法301条に基づき中国による知的財産侵害を調査している米通商代表部(USTR)は10日、ワシントンで、米中双方の経済団体から見解を聞く公聴会を開いた。中国の団体幹部は「米中貿易戦争の引き金になりかねない」と述べ、米国による一方的な制裁措置に警告を発した。
公聴会は、トランプ米大統領が8月、301条の制裁措置を視野に入れた調査をUSTRに指示したことを受け、開かれた。
米国知的財産侵害委員会のリチャード・エリングス氏は、中国に進出する米企業に対する技術移転の強要の問題が「かつてなく深刻になった」と批判した。米国側からは、中国の知財保護を促す上で「米国が一方的な措置を採るより、多国間による協調的な行動がより効果的だ」(米中経済協議会のエリン・エニス副会長)との意見も聞かれた。
一方、中国の団体は、知財機関設置などの取り組みを紹介。中国国際商業会議所の陳洲副会長は「301条に基づく調査開始に困惑している」と述べ、調査後に制裁措置が採られれば貿易戦争につながり「両国の経済と国民に多大な損害をもたらす」と指摘した。