衆院選、消費増税の是非や使途争点 財政健全化の道筋 明確に (1/2ページ)

 衆院選では消費税増税の是非や使途が争点となる。安倍晋三首相が増税による税収増分の一部を教育財源に振り分ける方針を打ち出す一方、国政新党「希望の党」を立ち上げた小池百合子東京都知事は景気回復まで増税凍結を訴える。少子高齢化に伴う社会保障費の増加などで財政状況が悪化する中、将来にツケを回さないための責任ある議論が求められる。

 消費税は2019年10月に税率が8%から10%に引き上げられる予定。税収増は5兆6000億円の見通しで1兆円程度を年金など社会保障の充実に使い、残りを借金返済に充てることになる。

 安倍首相はこの配分を変え、政権の看板政策「人づくり革命」に掲げる幼児教育無償化などの財源として約2兆円を確保し、税収増分の半分に当たる約2兆8000億円を借金返済に充てる方向だ。また、民進党の前原誠司代表はこれまで、税収増分全てを教育無償化を含む社会保障の充実に充てるとしてきた。

 一方、小池氏は増税凍結まで踏み込んだ。28日の会見では「ただの増税は消費を冷え込ませる」と話し、経済情勢によって増税の可否を見極める景気条項の必要性も訴えた。増税凍結は日本維新の会も主張する。

 使途変更や増税凍結で、財政健全化には遅れが出る可能性がある。政府は財政の健全性を示す基礎的財政収支を20年度に黒字化する目標を掲げる。安倍首相は使途変更で借金返済が減るため達成は「不可能」と認めた。ただ黒字化目標自体は堅持し今後「具体的な計画を策定する」という。一方の小池氏は、日本は「借金は多いが資産もある」として財政再建の取り組みの必要性について明言を避けた。

消費税増税をめぐる主要各党の主張