【視点】米政権の対中通商圧力 「恫喝」で知財侵害を阻めるのか (1/3ページ)

 □産経新聞論説副委員長・長谷川秀行

 トランプ米政権が、世界貿易機関(WTO)で認められた国際ルールよりも米国の法律を活用し、中国に対する経済的な圧力を強めている。

 米通商法301条に基づき中国が知的財産を侵害しているかどうかをみる調査のことだ。「クロ」と判断すれば、関税引き上げなどの一方的な制裁措置を取れる。WTOルールに抵触しかねない劇薬である。

 まだ調査を始めただけであり、実際に制裁を発動したわけではない。それでも看過できないのは、かつての日米貿易摩擦に際し、制裁をちらつかせた米国に市場開放を迫られた苦い経験があるからだ。

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 相手国を自国の主張に従わせるため、国内法を恫喝(どうかつ)に使う。そんな手法が有効だと米政権が考えるなら、次は対日交渉で無理を通すために使うかもしれない。まずはその危険性を認識しておくべきである。

 中国の問題をあぶり出すこと自体は妥当である。知財侵害は米国に損害を与えるだけでなく、中国の覇権主義的な国家戦略と結びついているという見方もある。それほど根が深い問題なのである。

 例えば、中国が技術を取得するため、外資に技術移転を強要しているとされる問題だ。中国はWTO加盟時、技術移転を強要しないと約束したが、いまだにそれが隠然と行われているといわれる。

無論、米国が日欧と連携して改善を求めるなら問題はないが…

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