RCEP、年内合意は困難な情勢 閣僚会合が閉幕

 日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が10日、フィリピンのマニラで開かれ、今年末までに「重要な成果を達成すべく、最大限努力する」と明記した声明を採択して閉幕した。ただ、参加国の意見の隔たりはまだ大きく、ASEAN発足50周年の今年中に合意するのは難しい情勢だ。

 会合では、関税だけでなく、電子商取引や知的財産の保護など、先進的な貿易ルールを含む交渉分野ごとに重点的に協議を進める「基本要素」を確認。年内の成果を確認する11月のASEAN首脳会議に向け、10月に韓国で事務レベル交渉を開くなど議論を深める。

 ただ、日本やオーストラリアなどが質の高い合意を目指すのに対し、中国やインドは自国産業を優先し、市場開放には慎重な姿勢を崩さない。世耕弘成経済産業相は終了後の記者会見で「論点が明確になっただけに乖離や一致している所もはっきりしてきた」と述べた。

 早期合意を優先して自由化の水準を下げれば、多国間の貿易協定を否定するトランプ米政権を勢いづけ、米国が各国に求めている2国間交渉で逆に厳しい自由化を迫られる恐れがある。

 日本は域内の中核を占めるASEAN10カ国に対し拙速に妥結しないよう説得を続けてきた。こうした努力が奏功し、中国が慎重な貿易ルールの分野でも質の高い合意を作るため交渉は越年となる見通しだが、日中の主導権争いは今後激化しそうだ。