ロシア中部エカテリンブルクで開かれた産業総合博覧会で、日本企業の展示を視察するプーチン大統領(手前中央)と世耕弘成経産相。日露交流の裾野は広がっている=7月10日(共同)【拡大】
世耕弘成経済産業相は7日にも、ロシア極東ウラジオストクで経済協力の推進をめぐり露関係閣僚と会談する。同日開かれる日露首脳会談に合わせ、複数の新規案件で合意する見通し。ただ、北朝鮮へ秘密裏に石油を輸出するなど“後ろ盾”となるロシアとの関係強化に理解が広がるかは不透明だ。トランプ米政権の経済制裁が拡大すれば、事業が難しくなる恐れもある。
世耕氏は5日の記者会見で「(経済協力の)さらなる充実に向け協議していきたい」と意欲を示した。安倍晋三首相に同行してウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムに出席し、シュワロフ第1副首相やオレシキン経済発展相らと相次いで会談する見通し。
日露両政府が取り組む8項目の経済協力では、これまで北極圏ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)開発など、エネルギーや生活に身近な分野を中心に事業の具体化が進んできた。経産省によると、今回は文化的な分野やロシア地方都市との協力案件も増え、「日露交流の裾野が広がってきた」(幹部)という。
一方、ロシアは中国とともに、北朝鮮の金正恩体制を支える存在。国連安全保障理事会で日米が求める石油禁輸などの厳しい制裁措置にも消極的だ。
世耕氏は「ロシアの動きが北朝鮮問題に及ぼす影響を注視している」と説明する。一連の会合がロシアの説得につながると期待する向きもあるが、北朝鮮に対する圧力強化に失敗すれば、国内から経済協力への反発が起きかねない。