世界初の火星の酸素観測に向け、総務省が来年度から3年間、光と電波の中間の性質を持つ電磁波「テラヘルツ波」の研究開発を進める方針を固めたことが3日、分かった。水蒸気や酸素に反応し、放射されやすいテラヘルツ波が、火星から出ているかどうかを検知することで確認できるという。この応用で生命体の存在も調べられるといい、地球からの移住の可否の調査にも役立てたい考えだ。
研究を進めるテラヘルツ波は、高度な技術開発が必要で世界的に実用化が進んでいない。総務省は火星の酸素観測の支援に向け、理化学研究所や情報通信研究機構(NICT)、民間企業などに研究を委託する。
総務省関係者によると、テラヘルツ波を検知する小型センサー付きの人工衛星を火星上空に飛ばし、酸素や水の存在を確認。水や酸素が地上からどれぐらいの高さにあるのかなどのほか、テラヘルツ波を出す水蒸気や酸素からバクテリアを探索するという。
テラヘルツ波の利用で、現在よりも精細な地球の気象観測や災害予測への応用も可能だ。崖崩れの恐れを住宅ごとに知らせる土砂災害警戒情報の提供や避難解除時期の予測など、災害の場所や時期に関するきめ細かな予報システムの開発が期待されるという。