財務省が8日発表した平成29年上期(1~6月)の国際収支(速報)によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同期比0・3%増の10兆5101億円だった。暦年半期ベースで19年下期(12兆2497億円)以来約10年ぶりの高水準。20年のリーマン・ショック以降最大となった。日本企業が海外子会社から得る配当金や訪日外国人の増加が貢献した。
海外投資の収益を示す第1次所得収支の黒字は2・2%増の9兆7622億円。一方、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2兆531億円の黒字だったが、黒字幅は11・7%減少。自動車部品などの輸出は好調だったが、原油価格の上昇で輸入額が増えたことが影響した。
訪日外国人が国内で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた旅行収支は8・6%増の7903億円の黒字。韓国などから日本に乗り入れる格安航空会社(LCC)の増便が寄与し、黒字幅は過去最高となった。ただ、知的財産権の収入が減ったため旅行を含むサービス収支全体では2974億円の赤字だった。