1日に東京証券取引所2部に降格する東芝株についてQ&A形式でポイントをまとめた。
Q 東芝株はなぜ2部に降格するのか?
A 米原発事業の巨額損失で、負債が資産を上回る債務超過に陥ったためだ。東証のルールでは、1部上場の企業が決算期末に債務超過の状態になった場合は2部降格となる。企業が提出する有価証券報告書(有報)で確認する。東芝は今も平成29年3月期の有報を提出できていないが、6月23日に債務超過額が今年3月末時点で5816億円になったと公表。東証はこれに基づき、東芝が決算期末に債務超過になったと認定し2部降格を決めた。
Q 2部に降格するとどんな影響があるのか?
A 東芝株は1日付で、代表的な株価指数である日経平均株価や、1部の全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄から外れる。こうした株価指数に連動する投資信託などの売りが出て、最近は東芝株の下落要因となってきた。加えて、主要企業が集まる「東証1部上場」という資本市場でのステータスも失う。ただ、金融機関の融資基準などへの影響はない。
Q 将来的に1部に復帰することは可能か?
A 債務超過を解消した上で東証に1部復帰を申請し、審査を通過して承認を得れば復帰できる。昨年8月に降格したシャープは今年6月末に1部復帰を申請した。ただ東芝の場合、道のりは険しい。1部復帰には直近5年間、有報などに虚偽記載がないことや、監査法人から「無限定適正意見」か「限定付適正意見」を得ている必要があり、こうした点に引っかかる。29年3月期の有報も適正意見を得られない恐れが指摘され、1部復帰どころか上場廃止のリスクにさらされている。(森田晶宏)