【台北=田中靖人】台湾の航空大手エバー(長栄)航空で7月30日、客室乗務員約500人が台風9号を理由に一斉に休暇を申請して計64便が欠航し、波紋が広がっている。台風は前日深夜に台湾本島を通過し、特に北西部の桃園国際空港周辺は日中ほぼ晴天だったことが、利用者の怒りに拍車をかけた。
欠航で約1万人が影響を受け、夏休みの日曜日の空港には長蛇の列ができた。うち22便は日本便だった。報道によると、損害は航空券の払い戻しや宿泊場所の確保などで1億台湾元(約3億7000万円)を超すとみられる。同じ台湾の中華航空の欠航は計5便だった。
会社側は、乗務員が申請した「天災休暇」は法律により拒否できなかったと弁明。一部地元紙は、組合主導の違法ストライキの可能性があるとして当局が調査に乗り出すと報じた。だが、組合側は31日、「会社側は欠航のため出勤する必要はないと連絡していた。単なる調整不足だ」と関与を否定した。
同社は昨年9月に台風17号が台湾を直撃した際、計8便の飛行を強行して航空当局から罰金処分を受けた経緯があり、乗務員から反感を買っていた。