原発輸出、有望事業相次ぎ中止 政府支援も不透明感増す (1/2ページ)

 政府は、日本の重工企業による海外への原発輸出を重視し、民主党政権時代からさまざまな支援策を講じてきた。だが、東芝の原発子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)は経営破綻し、東芝は海外原発事業からの撤退を表明。有望とされた国での事業中止も相次ぎ、その将来は不透明感を増している。日本企業の原発輸出の現状を検証した。

 ◆残る事業は2件に

 原発輸出には民主党政権も前向きだったが、安倍晋三首相はさらに積極的。成長戦略の一つと位置づけ、インドやトルコなどへのトップセールスに取り組んだ。だが、成果は必ずしも上がっていない。

 ベトナムでは、日本企業の受注が決まり、三菱重工業や日立製作所が受注を狙っていたが、昨年11月、東京電力福島第1原発事故を受けたコスト増加や財政難などを理由に政府が原発計画を白紙撤回した。

 日立が優先交渉権を獲得したリトアニアでは、政権交代で反原発を掲げる政党が第1党となったことなどから「凍結状態」(同社)に。

 東芝は、子会社の米原発会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営破綻が本社の屋台骨まで揺るがし、海外の原発事業から撤退した。

 現在、日本関連で動いている事業は英国とトルコの2件だ。

 日立は2012年、英国の原発事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」をドイツの大手電力会社から買収し、英国内で、原発を4~6基建設する計画を引き継いだ。当面、英国中西部に改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設する事業に取り組む。

 「ホライズン社への出資比率を下げるために募っている外部からの出資の動向、英国政府が決める電力価格のレベルなどを勘案して最終的な投資判断を19年内に行う」(日立の担当者)予定だ。

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