財務省が10日発表した5月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同月比5.9%減の1兆6539億円だった。減少は4カ月ぶり。原油価格などの上昇で輸入額が膨らみ、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が4カ月ぶりの赤字になったことが主因だ。
経常収支の黒字は35カ月連続。財務省は先行きに関し「原油価格を抑える減産の動きもあり、動向を注視していきたい」としている。
輸出は自動車が伸びて12.9%増の5兆7145億円。これに対し、原油のほか、液化天然ガス(LNG)や石炭の輸入価格上昇で輸入が15.8%増の5兆8297億円に膨らみ、貿易収支は前年同月の308億円の黒字から、1151億円の赤字になった。
サービス収支は黒字だったが、黒字額は48.6%減の421億円。このうち旅行者のお金の出入りを示す旅行収支は訪日客の増加で5月として最高の1272億円だったものの、海外への著作権料の支払いがかさんだ。
海外投資からの収益動向を示す第1次所得収支の黒字額は1.6%増の1兆9243億円。金融機関が保有する欧米の債券利子が増えた。