大雨で増水した際に国土交通省などが特定の河川に対して発表する「指定河川洪水予報」について、過去5年間に行われた水位予測のうち、予測通りに水位が増減したのは約60例中で数例にとどまることが1日、同省関係者への取材で分かった。精度の低さが浮き彫りになった形で、同省は検討会を立ち上げて精度の大幅向上に乗り出している。
国交省は指定河川の水位予測状況を検証するため、各河川事務所を通じ、直近5年以内に発生した増水時の予測データを約60河川で1ケースずつ抽出し調査。
1時間ごとに出される1~3時間先までの水位予測を実測値と比べたところ、上がるとした予測より早く実測値が上がったり、下がるとした予測が実測値では上がるなど、予測と実測値が一致しないケースが多かった。判定基準はないが、おおむね一致したのは10ケース未満だったとみられる。
同省は予測精度の大幅向上に向けて6月、河川工学などの外部有識者や関係機関職員を交えた非公開の検討会を設置。関係者によると、河川ごとに異なる水位予測モデルを見直し、古いモデルを更新していく作業を、今後数年かけて行う方針を確認したという。「指定河川洪水予報」で予測情報が発表されるのは、数時間後に氾濫危険水位に達する場合に限定されている。