金融庁が、インターネット上での口座開設といった取引の手続き効率化に乗り出すことが20日、分かった。現状は郵便送付による本人確認が必要で、手間がかかると不満が高まっている。このため金融庁は関係団体と21日に研究会を立ち上げ、オンラインで本人確認を終えられる方策の検討を開始。金融とITを融合したフィンテックの普及に弾みをつけたい考えだ。
現在、ネット上で預金や証券の口座を開設したり、仮想通貨を購入したりする際、マネーロンダリング(資金洗浄)などを防止するため、銀行が利用者に転送不要郵便を送付して本人確認をする必要がある。
しかしネット上で手続きが完了しないため、すぐに取引を始めることができず、「手続きをする人の7割が途中で止めている」(業界関係者)という。郵送費用も事業者にとって負担となっている。
オンラインですべて取引できるのがフィンテックの大きな魅力だが、現在の本人確認のルールはその妨げとなっている格好だ。業界は、ルールの見直しを強く求めている。このため、金融庁などは研究会で、ネット上で本人確認ができるようルールを変える方策を話し合う。
英国では、新たな口座の最初の入金を、既存の預金口座から行うことで本人確認とする方式が認められている。こうした海外の事例などを参考にする。銀行間で本人確認情報を共有するやり方も案として想定される。