□第一生命経済研究所 主席研究員・宮木由貴子
若者が商品・サービスの選択肢と付随する情報の多さに、買う・買わないの基準を見いだせずに「何を買ったらいいのかわからない」という状況に陥っている可能性を、前回指摘した。
人は選択肢が多すぎると決定を回避し、現状を維持する傾向がある。提供側は消費者にとって選択肢が多いことは好ましいと考えがちだ。個人のライフスタイルや志向が多様化した現代では、多くの選択肢は、多様な消費者にきめ細かく対応するという点で間違っていない。
しかし、第一生命経済研究所の「若者の価値観と消費行動に関する調査」によれば「(買いたいと思って調べたり)選んでいるうちに、面倒になって買うのをやめてしまう」とする割合は、若者を中心に比較的高い割合を占める。若者の「欲しい」気持ちは、多くの商品・サービスと付随する情報に接するうちに、何が欲しいのかわからなくなり「買うのをやめる」ケースが実はかなりあるようだ。