2017.6.9 19:22
EUの交渉責任者、バルニエ首席報道官=9日、ベルギーのブリュッセル(ロイター)【拡大】
【ベルリン=宮下日出男】英総選挙でメイ首相の保守党が過半数割れになったのを受け、欧州連合(EU)では離脱交渉をめぐる不透明感の増大に懸念が一斉に上がった。1年前の国民投票に続き振り回される形になりかねないとの思いもあり、いらだちは強い。
「ロンドンの客を待っている。これ以上の遅れは望まない」。EUのユンケル欧州委員長は9日、訪問先のプラハで記者団にこう語り、英側に次期政権の早期の樹立を促した。
EU側は準備を終え、19日にも最初の交渉を開く日程を描くが、EUの交渉責任者、バルニエ首席交渉官は9日、「英側の準備が整ってから始めるべきだ」と述べ、予定がずれ込む可能性を示唆。ただ、すでに原則2年の交渉期間に入り、「無駄な時間はない」(独外務省幹部)のが実情だ。
選挙結果はメイ氏が政権基盤を強化し、国内の交渉環境を整えると踏んでいたEU側にも大きな誤算。メイ氏は続投の意向を示したが、脆弱な政権では保守党内の反EU強硬派だけでなく、野党にも配慮を迫られる可能性があり、交渉が一層困難になるのは確実だ。