フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、レジーナ・ロペス前環境天然資源相が失職したことを受け、3日に元国軍参謀総長のロイ・シマツ氏を後任に指名した。前任のロペス氏は、上下院の議員で構成する任命委員会の承認を得られず失職していた。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
熱心な環境保護活動家として知られる前任のロペス氏は鉱業に批判的で、今年2月には国内41カ所の鉱山のうち22カ所に閉鎖を命じたほか、75件の開発計画を凍結するなどして鉱業界の強い反発を受けていた。
シマツ新環境天然資源相は指名受諾に際し、鉱山についてはまだ情報が足りないと前置きしたうえで「環境を破壊せず適切に管理できるのであれば、むろん操業を認めるべきだ」と述べた。問題があるとされた鉱山に可能な限り早く足を運び、自分の目で確認したいとの考えだ。
業界団体のフィリピン鉱業協会(CMP)は「環境保護と鉱業の均衡を図れる人物の登用を望んできた業界の期待に応える人選であることを願う」とコメントし、新大臣の今後の動きを注視していく意向を示した。
一方、ロペス氏の支持者らは同氏の路線踏襲を訴えている。ある議員はロペス氏の閉鎖措置について、採掘活動の危険性に関する国民の関心を呼び起こすものだったと評価し「シマツ氏が大企業の圧力に負けないよう期待する」と述べた。(シンガポール支局)