政界きっての「政策通」として知られ、財政再建をライフワークとした与謝野馨(よさの・かおる)元財務相が死去したことが24日、分かった。78歳だった。喪主は妻、とも子(ともこ)さん。
東京都千代田区(現在)生まれ。東大法学部卒業後、日本原子力発電勤務。中曽根康弘元首相秘書を経て、昭和51年に自民党公認で衆院初当選し、衆院議員を計10期務めた。
文相、通産相などを歴任。平成16年、自民党政調会長に就き、当時の小泉純一郎首相が目指す郵政民営化の党内取りまとめに当たった。財政再建論議も本格化させ、経済財政担当相、財務相では消費税増税への環境づくりに努めた。
22年、たちあがれ日本の結成に参画し、自民党から除名された。23年には菅直人第2次改造内閣の経済財政担当相に起用され、たちあがれ日本を離党。社会保障・税の一体改革を策定した。
一方で、がんとの闘いを強いられ、体験談『全身がん政治家』も出版。24年、咽頭がんの影響で声帯を切除して引退した。その後は都内の事務所で執筆活動などをしていた。今年4月30日、自民党に復党した。
父は、昭和39年東京五輪の組織委員会事務総長も務めた与謝野秀(しげる)元駐イタリア大使。母は随筆家の与謝野道子氏。祖父母は歌人の与謝野鉄幹、晶子夫妻。
関係者によると、与謝野氏の死去は遺族の意向により密葬後に公表される。きょうだいと中曽根氏らごく一部にだけ伝えられたという。