政府は23日、平成28年度版「農業白書(食料・農業・農村の動向)」を閣議決定した。政府、与党が昨秋まとめた「農業競争力強化プログラム」を特集し、肥料や農機などの価格引き下げや業界再編などの改革に取り組むと強調。27年の新規就農者が6年ぶりに6万人を超え、法人の雇用が受け皿になっていると分析した。
白書によると、自営を含む27年の新規就農者は前年比13%増の6万5030人。このうち49歳以下は、比較ができる19年の調査以降で最多となる2万3030人に上った。
法人経営組織による長期雇用者数は10年前に比べて倍増となる10万4285人。44歳以下が半数近くの47%を占めており、農村への回帰志向を持つ若者の就農先となっている現状が浮き彫りになった。家業の性格が強く、生産者が高齢化する中で、農業法人の役割を指摘した。
一方、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の項目は米国の離脱に伴い、特集を組んだ昨年度版から記述が大幅に減った。今後の方針については「わが国が持っている求心力を生かしながら、どのようなことができるかを関係国と議論していく」という表現にとどめた。