■“米抜き”に温度差、枠組み明示せず
米国離脱後の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国による閣僚会合が21日、ベトナムのハノイで開かれ、各国がTPPの早期発効を追求する方針を明記した閣僚声明を発表して閉幕した。協定文の変更を含む今後の選択肢を11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに事務レベルで検討する。
米国の復帰を期待し、協定文書に署名した12カ国(原署名国)の再加入を優遇するような仕組み作りを進めることも盛り込んだ。
ただ、11カ国の中には米国抜きの協定に慎重な国もあり、当初検討した「11カ国で発効を目指す」という枠組みや、「年内の大筋合意」といった合意時期については書き込めなかった。
このほか、会合では7月に日本で首席交渉官会合を開くと合意。必要があれば11月より前に再び閣僚会合を開くことも提案された。
石原伸晃経済再生担当相は終了後、記者団に対し、「11カ国が結束を維持し、米国離脱後初めて早期発効に向けた合意ができた」と会合の意義を強調した。
一方、ハノイで同日行われたAPEC貿易相会合は、参加21カ国・地域で意見の隔たりがあり共同声明の発表を断念。保護主義の抑制やアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現に向けた決意を示した議長声明を採択して閉幕した。
日中韓など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合も、同日夜に開幕する。(ハノイ 田辺裕晶)