【ハノイ=田辺裕晶】ベトナムのハノイを訪問している世耕弘成経済産業相は20日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と会談し、中国などを念頭に「第三国で行われている不公正な貿易慣行」に対し日米が協力して対応を強化することで合意した。懸念された対日貿易赤字に関しては米側から表向き批判は出なかった。
対日強硬派で知られるライトハイザー氏が就任後、日本の閣僚と会談するのは初めて。
世耕氏は会談後、記者団に対し「会談は温かい雰囲気で行われた」と指摘。相互利益をもたらす貿易の促進や、貿易障壁の除去といったレベルの高い貿易ルールを作るなど、日米が「協力して助け合うことで合意した」と成果を説明した。
ライトハイザー氏は米議会公聴会で日本市場が閉鎖的だと批判し、「農業交渉の第一の標的」と表明。世耕氏との会談でも市場開放を迫るとみられたが、この日は協調関係の構築を除き会談の詳細は伏せられた。
一方、日米や中国など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合も同日、ハノイで開幕した。米国などで保護主義的な動きが広がる中、域内の貿易自由化に向けた協力を確認する。