【パリ=三井美奈】フランス大統領選の決選投票に進出する極右「国民戦線」のルペン候補と独立系のマクロン前経済相が26日、国外移転の決まった北部アミアンの工場を相次いで訪れ、グローバル化経済の是非をめぐって激突した。ルペン氏は27日には仏南部の漁港を訪ね、経済保護主義の必要性を訴えた。
この工場は米家電大手ワールプール傘下にあり、今年1月に工賃の安いポーランドへの移転計画が発表された。290人が失職する可能性が浮上し、グローバル化経済の「負の象徴」とみなされている。
ルペン氏は26日、マクロン氏が付近の商工会議所を訪問しているさなかに突然工場を訪れ、工場移転への抗議デモを続ける労働者たちを激励。「マクロン氏は経営者側の人間。私は労働者の味方だ」と訴えて、喝采を浴びた。
続いてやってきたマクロン氏は罵声を浴びながら、「怒りや不安があるのは知っている」と理解を求めた。その後の演説で、「彼女(ルペン氏)は国民の代表のふりをしているが、何も回答を示さない」と対抗姿勢をあらわにしたが、PR戦略でルペン氏に先んじられた形となった。
ルペン氏は27日朝には南仏モンペリエ近郊で、漁業者たちを訪問。国内農業や漁業を保護すべきだと訴え、「欧州連合(EU)に押しつけられた自由主義」で国内経済が打撃を受けていると主張した。
マクロン氏は23日、大統領選第1回投票の結果が出た後にパリの有名レストランで宴会を開き、「もう勝ったつもりか」と批判を浴びた。26日発表の世論調査では61%が、決選投票に向けた緒戦で「ルペン氏が成功している」と回答した。