農林水産省は21日、伝統的な農林水産物・食品のブランドを守る地理的表示保護制度(GI)の対象に、新潟市の一部地区で生産される「くろさき茶豆」など2品目を追加した。これで同省のGI登録は計30品目になった。消費者に価値が伝わって売り上げが伸びた産地がある一方で、海外に拘束力が及ばず、現地で横行する模倣品を封じ込められない課題がある。
農水省によると、くろさき茶豆は信濃川に育まれた土壌が生育に最適とされる。種子を門外不出として大切に守り、他の産地にない独特の香ばしい味が評価された。21日、同時に登録された山形県東根市などの「東根さくらんぼ」は、昼夜の寒暖差や水はけの良い土壌が好条件となり、爽やかな甘さと酸味のバランスに定評がある。
制度開始から6月で2年。酒類以外を所管する農水省は、2020年までに全47都道府県で登録品を少なくとも1品は生み出す目標を掲げる。くろさき茶豆で新たに新潟県が加わり、登録品を持つのは22道県に達した。
登録1号の「あおもりカシス」を生産する青森市の石岡大亮さん(45)は「登録直後から問い合わせが増え、生産意欲も上がった」と手応えを明かす。農水省によると「鳥取砂丘らっきょう・ふくべ砂丘らっきょう」(鳥取市の一部)や「八女伝統本玉露」(福岡県)で販売増や単価アップの効果があったという。
問題は海外の模倣品への対応だ。昨年の調査ではタイ産「夕張日本メロン」やオーストラリア産「神戸ビーフ」、中国産「八女抹茶」などが見つかった。取り締まるにはGI制度を持つ国と相互に協定を結ぶ必要があるが、まだ実現には至っていない。