21日の東京株式市場で、平成27年に買収したオーストラリア物流大手にからむ巨額損失の可能性が浮上した日本郵政の株価は朝方、売りに押されて前日比2%超下げた。ただ前日にも急落して年初来安値を付けていたため、割安感から買い戻しが入り、終値は1.7%高で取引を終えた。
郵政は29年3月期連結決算で、27年に買収したオーストラリアの物流大手トール・ホールディングスにからむ巨額の減損損失を計上する方向で検討している。減損処理の規模は3千億~4千億円程度とみられ、最終利益は3200億円の予想から赤字に転落する恐れもある。来週開催予定の取締役会で決定し、3月期業績予想を修正する見通しだ。
日本郵政は27年5月、グループの日本郵便を含めた国際物流の強化などを目的に、トールを約6200億円で買収した。企業買収に伴い、計上する必要がある買収価格と買収先の純資産の差額(のれん代)は、昨年末で約3860億円にのぼり、ほぼ全額を処理する方向だ。
日本郵政は約20年かけてのれん代を償却する予定だった。だが、資源価格の下落などから豪州の景気が鈍化。トールの業績も悪化し、買収当初の事業計画が達成できない状況に陥った。企業価値が大幅に低下したことから資産価値を低く見直し、のれん代を減損処理する検討に入った。