日本の産業界の大きな曲がり角になるかもしれない東芝の損失処理。焦点の1つである半導体事業売却で相手先の有力候補として、韓国の半導体大手SKハイニックスが挙がり、同国メディアも関心を寄せている。日本に追いつけないでいる、とされる技術力を獲得するチャンスになりそうだ。対中関係の悪化が製造業にも影響し始めており明るいニュースがほしいところ。しかしハードルは高い。
勝者の呪い
東芝は半導体事業を分社化し、株式の大部分を売却して2兆円超の資金を得たい考え。SKをはじめ、米国のウエスタン・デジタル(WD)やマイクロンテクノロジー、台湾の鴻海精密工業などが買収に乗り出している。
しかし「入札企業のうち、最も規模の大きいSK、マイクロンの時価総額は約3兆円であり、買収は大冒険。成功したとしても深刻な財務状況の悪化に苦しむ恐れがある」
朝鮮日報(日本語電子版)は半導体業界関係者の分析を伝えた。「これまでの半導体メモリー企業の合併では1+1が2ではなく、1.5程度にしかならないケースが多かった」
半導体は技術の進展と価格低下が急で、単純に事業規模を確保すれば安定するというものではない。同紙は「高額で買収したものの、会社全体が損をするという『勝者の呪い』のパターンになる」懸念を指摘した。
THAADに立腹、中国の圧力
難しい判断を迫られそうなSKグループは今、対中関係悪化というやっかいな問題に巻き込まれている。