2017.4.8 05:35
初の首脳会談で握手する安倍首相とトランプ米大統領(右)=2月、ワシントンのホワイトハウス(共同)【拡大】
麻生太郎財務相は7日、ペンス米副大統領が18、19日の日程で来日し、日米経済対話の初会合を開くと発表した。貿易やインフラ協力などについて話し合う。対米貿易赤字を解消したい米側は、通商交渉で米国の利益を優先する外交戦略を仕掛ける構えで、強まる米側の対日圧力を日本がうまく回避できるかが焦点となりそうだ。
2月の日米首脳会談で創設が決まった日米経済対話は、「財政・金融のマクロ経済政策」「インフラやエネルギーなどでの協力」「2国間の貿易に関する枠組み」の3分野について話し合うことで合意した。
ただ、麻生氏は7日の記者会見で、「貿易や為替などの限られた分野だけでなく、広い分野で話をしなくてはいけない」と述べ、合意内容にとらわれず、幅広く議論する考えを強調。その上で「経済面や安全保障において日米関係が今後、一層深まることを期待したい」とした。
トランプ米政権はオバマ前米大統領が力を注いだ環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から早々に離脱し、日本に2国間自由貿易協定(FTA)を求めていく方針を示している。特に日本の自動車や農業分野を閉鎖的だと批判しており、日本の安全基準が米国産車の輸入を阻む非関税障壁の撤廃や、TPP合意を上回る農産物の市場開放を要求してくる可能性もある。
対する日本は、「TPPの合意内容以上の譲歩はできない」(経済官庁幹部)とし、知的財産や電子商取引などのルール形成の議論に止めたい考えだ。
マクロ経済政策では、企業による国際的な課税逃れ防止に向けた連携について議論する予定。日本は米国が国内の輸出企業の法人税を軽減し、輸入企業は増税する「国境税」導入の再考も求める。インフラなどの協力では、米国での高速鉄道建設や米国産ガス輸出など、日米共通の利益になるよう議論を進める。ただ、米政権内の人事が遅れているため、初会合は「限られた人数での顔合わせ」(同)に止まり、踏み込んだ議論は次回以降に持ち越される公算が大きい。(西村利也)