マレーシア航空産業さらに成長 17年7%増収予測 アジア需要追い風

 マレーシアは航空産業の拡大が続く見通しだ。同国政府は、2017年の航空産業の売上高を前年比7%増と予測する。政府が同産業への投資誘致を図っていることに加え、中国やインドなどアジアでの航空需要増などが同産業の成長を後押しするとみられている。現地紙スターなどが報じた。

 同国では、航空機の整備・修理・オーバーホール(機体の分解・総点検整備)を指すMRO分野と部品などの製造分野からなる航空産業の売上高が16年に127億リンギット(約3195億円)に達した。17年はMRO分野の売上高が60億リンギットになると予測される。

 高付加価値産業の育成を図る同国は、航空産業を成長エンジンと位置付け、政府が投資誘致に注力するなど振興を図っている。16年の投資額は15億6330万リンギットで、うち外資企業が8億8940万リンギット、地場企業が6億7390万リンギットだった。

 同国北西部ランカウイ島で3月に開催された国際海事・航空宇宙展示会(LIMA2017)に出席したムスタパ・モハメド貿易産業相は「航空産業で総額10億リンギットに上る10事業の投資案件の交渉が進んでいる」と述べ、航空産業のさらなる成長に自信を示した。同展示会の出展企業は今年、36カ国・555社で前年から増加しており、マレーシアの航空産業への関心の高さがうかがえる。

 同国は航空産業の関連企業数が200社を超え、専門技術者の雇用数は2万1000人とされる。政府は30年までに、同産業の売上高552億リンギット、専門技術者3万2000人の雇用を目指す。政府の支援を受けて成長が見込まれる同産業には、自動車や石油・ガスなど異業種企業や中小企業の参入も相次いでいるとムスタパ貿易産業相は指摘した。

 同国の航空産業は輸出も増加している。16年の輸出額は前年比32.6%増の55億3000万リンギットで、航空部品関連が大半を占めた。輸出増に伴い、部品の原材料などの輸入も急増しており、昨年は119億4000万リンギットに上った。(シンガポール支局)