韓国・釜山(プサン)の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として一時帰国している長嶺安政駐韓大使が15日、自民党の会合に出席した。帰国から2カ月以上過ぎても帰任の見通しが立たない長嶺氏に対し、出席議員は「毎日、何をしているのか」と素朴な疑問を投げかけた。
長嶺氏は一時帰国後の業務について「在韓国大使館員から判断を仰がれる問題も多々ある。そうしたことを処理するため、毎日、外務省に出勤している」と説明した。
政府は、慰安婦像の撤去など韓国政府の具体的な動きがなければ長嶺氏を帰任させない方針だ。長嶺氏は15日の会合で「尹炳世(ユンビョンセ)外相が釜山市東区に(慰安婦像移転を求める)手紙を出すところまでは来ているが、そこで止まっている」と述べ、自身の帰任につながる動きはないとの認識を示した。
この日の会合には横井裕駐中国大使らも出席した。
横井氏は、「南京大虐殺」を否定する書籍を客室に備えているアパホテルに対し、中国人が先月5日に東京都新宿で行ったデモに言及。「デモに日本の右翼と呼ばれる人が近づいたところ、日本の警察が中国のデモ隊を守った。『日本の警察はなんとすばらしいか』と大変な美談になっている」と説明した。