【北京=藤本欣也】韓国憲法裁判所が朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免を決定したことについて、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に強く反対している中国は、配備撤回に向けた好機ととらえている。配備に慎重姿勢を示す左派政権が次期大統領選を経て誕生する可能性が高いからだ。
中国外務省の耿爽報道官は10日の記者会見で、「韓国の内政であり、コメントしない」としつつも、「隣国として韓国の安定を望む」と語った。2015年に北京・天安門前の軍事パレードを参観した朴氏については「中韓関係の推進のために多くの仕事をした」と一定の評価をする一方、THAAD配備を決定したことは改めて批判した。
中国国営の中央テレビはこの日、韓国憲法裁判所の決定の言い渡しを生中継するなど高い関心を示した。
習近平政権は中国共産党大会を今年後半に控え、中国を取り巻く国際環境の安定を求めている。その意味で、朝鮮半島情勢は、トランプ米政権発足後の米中関係とともに、習政権にとって予測困難なリスクの一つだ。党機関紙、人民日報海外版も「朝鮮半島は北朝鮮の“危”と韓国の“乱”から安定を取り戻せるのか」と警鐘を鳴らしていた。