太陽光、豪雪・強風地帯向けの仕様を設定へ 経産省、事故多発で安全確保

 経済産業省は2日、太陽光発電設備の安全基準を明確にするため、強風地域や豪雪地帯に対応した具体的な仕様を2017年度中に定めると明らかにした。東日本大震災以降、太陽光発電が急増する中で、強度計算が十分に行われていない設備が増え、台風で太陽光パネルが飛散するなどの自然災害による事故が多発していることが背景にある。

 パネルの角度や基礎部分の設計など、具体的に示した仕様に従わせることで、安全性を確保するのが狙い。通常の仕様のほか、風の影響を受けにくいようパネルの角度を浅くした強風地域向けと、雪が積もりにくいように角度を急にした豪雪地域向けの3分類を設ける。仕様と異なる設計をする場合は事業者に十分な強度計算を求める。強度計算が不十分な事業者には、立ち入り検査をし、改善命令や発電事業の停止命令を出す。

 現行の制度でも、太陽光発電設備を設置するには、日本工業規格(JIS)に基づく強度設計を求めている。しかし、乱立する小規模設備の中には、コスト削減などを理由に強度計算を行わない事例がみられるという。支柱と土台を固定するボルトが1本しか使われていないなど、ずさんな設備もあった。

 15年8月の台風15号では、九州地方で81件の太陽光発電設備でパネルが飛散するなどの被害が発生した。経産省は設備の老朽化が進むことから、災害に対する太陽光発電設備の安全対策を強化する。政府は今後、増加が見込まれる太陽光発電設備の廃棄物の排出量を抑制する方針。経産省幹部は「設備の保安力を高めることで、廃棄を減らす副次的な効果も出てくる」と期待を寄せている。