【ソウル=桜井紀雄】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)被告の疑惑を捜査する「特別検察官」(特検)は28日、崔被告側への贈賄容疑などで逮捕した最大財閥、サムスングループ経営トップでサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)容疑者(48)ら17人を同日中に起訴または在宅起訴すると発表した。朴氏については崔被告と共謀し巨額の賄賂を受け取った「容疑者」と判断し、検察に捜査を引き継ぐ。
大統領権限を代行する黄教安(ファン・ギョアン)首相が30日間の捜査延長を認めなかったため、28日で捜査が終結する。
検察が強要罪などで起訴した崔被告をサムスン側からの収賄罪などで追起訴し、起訴状に「朴氏との共謀」を記載する見通し。現職大統領には不訴追特権があるため、憲法裁判所が朴氏の罷免を決定するか、退陣を待って通常の検察が起訴の可否を判断する。
李容疑者の起訴は3代続くサムスンの経営トップとして初めて。グループの司令塔として、崔被告側への計430億ウォン(約43億円)の贈賄を取りまとめたとみて、崔志成(ジソン)未来戦略室長ら首脳4人も在宅起訴する。
朴氏の不正診療疑惑に関連し、医師2人や医学部教授らも在宅起訴する。既に起訴した元大統領秘書室長の金淇春(キム・ギヂュン)被告ら13人と合わせ起訴や在宅起訴は30人となり、これまでに設置された特検の中で最大規模だ。
一方で、2014年の旅客船セウォル号事故当日、朴氏の動静が不明だった「空白の7時間」については「意味ある事実は見つけられなかった」として本格捜査を断念。名門女子大に不正入学した崔被告の娘(20)もデンマークで拘束されたままで、国民の関心が集中した疑惑は、未解決のまま残された。