【台北=田中靖人】トランプ米大統領が中国の習近平国家主席との電話会談で「一つの中国」原則を確認したことについて、台湾の総統府の黄重諺報道官は10日、「台米双方は緊密な連携と意外性ゼロの方法を維持している」とする談話を発表、事前に米側から通告があったことを示唆した。
黄氏は「米国政府が東アジア地域の平和と安定を重視していることを十分、理解する」とした上で、ティラーソン国務長官らが台湾への防衛的な武器供与を定めた台湾関係法に言及していることに謝意を表明。会談内容への不満は一切、漏らさなかった。
ティラーソン氏は1日の上院での指名承認を前に、「一つの中国」政策を維持し続けるべきだとする書簡を民主党議員に送付しており、トランプ氏の発言も想定の範囲内とみられる。それどころか、トランプ氏が「一つの中国」の見直しを公言すれば、中国の強硬な反発を招き、中台関係のさらなる悪化は避けられない。中台の「現状維持」を掲げる蔡英文政権としては、表面的な「一つの中国」の変更よりも、米国との実務関係の強化が重要と判断しているようだ。
ティラーソン氏は同じ書簡で、1982年にレーガン政権(共和党)が、台湾関係法に基づく武器供与について終了期間を定めないことなどを公約した「6つの保証」に言及、中台間の軍事バランスの維持にも努めると述べた。「6つの保証」は共和党が昨年7月に採択した政策綱領にも明記されており、蔡政権は歓迎の意向を表明している。