【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領は3日、金融規制の緩和に向けた大統領令に署名した。米国民に金融取引に関する自由な判断を認め、経済成長を後押しすることを目指す内容で、財務長官らに既存の金融規制を修正する計画を120日以内に提出するよう命じている。
米国では2008年の金融危機の反省から、10年の金融規制改革法(ドッド・フランク法)で規制が強化されたが、トランプ氏が方向転換を打ち出した形だ。修正の内容については言及していない。
トランプ氏は署名に先立ち、企業トップらでつくる経済助言チームと会合。「金融規制改革法のせいで、銀行は素晴らしい事業を手がけている私の友人たちに融資することができない」と述べ、規制緩和で企業が活動しやすい環境を整えるとした。
トランプ氏は選挙戦中は、政府による金融機関への救済策がとられた金融危機について、「ウォール街が労働者から富を奪った」などと批判してきた。しかし今回の方針は、「トランプ氏がウォール街や大企業に便宜を図ろうとしていることの証だ」(米紙ニューヨーク・タイムズ)とも指摘されている。