中国式「グローバル化」を露呈 アパホテル・ボイコット呼びかけ 国内向け「ガス抜き」か

  • アパグループの元谷外志雄代表(中央)=東京都荒川区
  • アパホテルの客室に置かれている「理論近現代史学II」
  • アパホテル天王寺駅前=大阪市阿倍野区

 中国政府が歴史問題を理由に、日本の民間企業の営業を妨害する事実上の報復措置を打ち出した。今後、公務員や中国共産党関係者はもちろん、一般観光客にもアパホテル・ボイコットの動きは広がるだろう。

 それにしても、習近平国家主席がスイス・ダボスで、自由競争を阻む「保護主義」への反対姿勢を国際社会にアピールした矢先の出来事だ。中国が志向する「グローバル化」とは何かを露呈したといえよう。

 背景には、世界2位の経済力を武器に、自国の原則・ルールに従わせようという「不健全な大国主義」(外交筋)がある。アフリカなどの国々が台湾と断交して中国と国交を樹立したり、民主進歩党政権下の台湾への観光を“規制”したりと枚挙にいとまがない。

 対象が民間企業というのは異例だが、韓国でも同様のケースが報じられている。英紙フィナンシャル・タイムズによると、中国外務省幹部が最近、韓国企業関係者に対し、中国が反対する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備が強行された場合、中国での経済活動が打撃を受けると警告したという。

 日中関係では、日本を訪れた中国人が昨年約637万人を記録し、過去最高を更新。反日教育の一方で訪日ブームが衰えないことに、不満を抱く勢力が中国に存在することも押さえておく必要がある。アパホテルへの報復措置は中国国内向けの“ガス抜き”でもある。(北京 藤本欣也)