インドネシア、国内での仮想通貨利用拡大 国外就労者の送金後押し (1/2ページ)

 インドネシアは、仮想通貨の存在感が高まりつつある。現地紙ジャカルタ・ポストによると、地場仮想通貨取引会社ビットコイン・インドネシアの会員数が2015年末の8万人から現在までに25万人に膨らみ、1日当たりの取引額が200億ルピア(約1億7000万円)に達するなど、国内での利用が広がっている。

 同国は、国外就労者からの送金額が東南アジア地域でフィリピン、ベトナムに次いで多い。世界銀行によると、12年の送金額は72億ドル(現レートで約8222億円)だった。ビットコインなど仮想通貨による送金サービスは、従来の送金方法よりも手数料などを軽減できるため、国外就労者が積極的に利用しているとみられる。

 ビットコイン・インドネシアの幹部は、16年11月にロシアがビットコインを通貨として正式に認めたと指摘。米、中、露といった大国を含む多くの国々がビットコインをはじめとする仮想通貨に対する姿勢を軟化させているとし「世界で利用が拡大していくのは自然な流れだ」と述べた。

 インドネシアでは、中央銀行が14年に「(仮想通貨は)正式な支払い手段として認められない」との声明を出して以降、現在もビットコインなどの法的な位置付けは定まっていない。同幹部はこうした状況について「政府当局は他国の情勢をみて学ぶ時間が必要なのかもしれない」との認識を示している。

 専門家からは、仮想通貨の存在は政府が目指す現金に依存する社会からの脱却を後押しする可能性を秘めているとの意見も上がるが、現在までに中銀は対応する姿勢を示していない。

 仮想通貨の利用は消費者の自己責任であるのが現状であるにもかかわらず、同国での利用は加速している。