【ワシントン=小雲規生】国際通貨基金(IMF)は16日発表の世界経済見通しで、2017年の世界全体の成長率を昨年10月の前回見通しと同じ3・4%に据え置いた。またIMFは世界経済の保護主義化に警鐘を鳴らしたほか、トランプ次期米政権下の政策や他国に及ぼす効果が不明なことを理由に、世界経済の見通しに不確実性が増しているとしている。
IMFは見通しに関する報告書のなかで、トランプ次期米大統領が米国の貿易赤字を問題視し、米国への輸入への高関税を示唆していることを念頭に、「国際貿易や移民の制限は生産性や所得を傷つけ、即時に市場心理に悪影響を与える」と指摘。保護主義の流れが強まることを世界経済のリスク要因としてあげた。
さらに米国については財政拡大や大幅減税などを含むトランプ氏の経済政策が景気を上ぶれさせる可能性もあると分析。また中国でも中国政府による景気刺激策の効果が想定より大きくなるかもしれないとした。そのうえで金融引き締めが急激に進み、新興国などの財政状態が悪化するリスクにも言及している。