フィリピンは、自然災害による損失回避が重要な課題になっていきそうだ。アジア開発銀行(ADB)は、同国の2090年までの自然災害による経済損失が最大で2993億ドル(約34兆7248億円)に達する可能性があると予測。ベトナムの最大1601億ドル、タイの同1406億ドルなどを大きく上回り、アジア新興国では最多の損失予想だ。現地紙ビジネス・ワールドが報じた。
ADBが16年12月に発表したアジアの災害に関する報告書によると、フィリピンの主な自然の脅威は台風で17~100年の間の損失が最小860億ドル、最大3000億ドルに達する恐れがある。
フィリピンは台風上陸の可能性が高い地域にあたり、13年11月には台風30号が直撃。中部レイテ島を中心に直接・間接を含めて23億ドルの損失が生じ、復興に20年を要するともいわれている。16年12月にも台風26号が直撃し、北部ルソン島を中心に約100万人が一時避難を余儀なくされた。
同報告書は、フィリピンが災害損失を低減するためには、政府と民間が協力して早期警報システムへの投資を促進し、警戒態勢を充実させるとともに、被災地域の支援も拡充する必要があると提言した。