韓国の通信大手KTは、2018年に開催される平昌(ピョンチャン)冬季五輪を舞台に第5世代(5G)携帯通信システムの試験サービスを実施する。同社によると、こうした5G関連の試験サービスの提供は世界初という。現地紙コリア・ヘラルドなどが報じた。
5Gは、最大通信速度が10Gbps(1秒当たり10ギガバイト)、通信容量が現行の最速システムの1000倍ともいわれる次世代通信システム。例えばデータ容量800メガバイトの映画1本をダウンロードする場合、現在は40秒のところを1秒に短縮できるという。世界での本格的な商業展開は20年以降とされる。
KTは、今年9月までに北部平昌と首都ソウルの一部に5G通信網を構築、その後4~5カ月の安定化に向けた調整期間を経て18年2月の五輪に備える。現在は通信速度2.3Gbpsでのダウンロードが試験的に成功しており、年内には5Gbpsまで引き上げるとしている。
五輪では、5G設備を搭載したバスを導入し、利用者が新しい高速通信システムを体験できるようにするほか、5G技術を利用した無線カメラを使い、最高時速150キロ超の高速で滑走するボブスレーなどから臨場感のある3次元映像を届ける「シンク・ビュー」サービスなどを提供する計画だ。
KTが公表した5G仕様には、協力会社として韓国サムスン電子やフィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンといった通信機器大手や、米国の半導体大手インテルやクアルコムといった企業の名が挙がっている。
KT幹部は、移動通信の標準化団体3GPPが5Gの標準化を進めていることを念頭に、自社の仕様が将来的に構築される5G通信網の世界標準に採用されることに期待を示した。現在、携帯高速通信市場での韓国勢のシェアは4.4%だが、同社が世界標準となることで、5G市場では20%のシェアを獲得したいとの考えだ。(ソウル支局)