東電に事実上の解体迫る 経産省、「再編・統合」の方針明示 提携先探しは難航か

  • 東電の再建スケジュール

 経済産業省は20日、東京電力の経営改革を検討する「東電改革・1F(福島第1原発)問題委員会」を開き、原発や送配電事業で他の大手電力との再編・統合を図る方針を盛り込んだ提言をまとめた。東電は来年、再編相手を公募する見通し。ただ、他の電力会社は東電との提携に腰が引けており、相手探しは難航しそうだ。

 東電は提言に沿って、来春までに再建計画「新総合特別事業計画」を抜本的に改定する予定。広瀬直己社長は会合後、「かなり大きな金額を確保する必要がある。(再編や統合など)大きな話も進めながらしっかり達成したい」と述べた。

 福島第1原発の事故処理費用は想定の2倍となる22兆円に拡大。このうち、東電は16兆円を負担する。1社で賄うのは難しく、経産省は「実質国有化」を延長して国の関与を強め、事実上の東電解体となる再編・統合を迫る方針を示した。

 送配電事業では、2017年から他の電力会社との協議を始め、20年以降に将来的な統合を見据えた「共同事業体」を設立する方針だ。

 ただ、廃炉費は今回試算した8兆円から数兆円規模で拡大するとの指摘もある。東電と組めば国の思惑次第で負担を強いられる恐れがあり、「提携のうまみはない」(大手電力幹部)と動きが鈍い。

 世耕弘成経産相は20日の記者会見で、「競争政策を通じて連携を誘導できるか検討したい」と意欲を示した。電力各社の幹部が参加する円卓会議を設けて再編を促す構想もあり、経産省は強引にでも提携をまとめたい構えだ。