政府は22日決定する2017年度予算案で、歳入不足を補う新規国債の発行額を前年度当初の34兆4000億円以下に抑える方針だ。減額は7年連続となり、財政規律に配慮する姿勢を示す。ただ減額幅は小幅にとどまる上、税収も見込み通りに確保できるかは不透明で、安倍晋三政権が進めてきた財政健全化の取り組みには限界が見えつつある。
安倍政権は経済政策「アベノミクス」を背景に増えた税収を景気対策の財源に充てるとともに、国債発行の減額にも活用。政権発足直後に編成した13年度予算の新規国債発行額は42兆8000億円に上ったが、15年度は前年度より4兆3000億円少ない36兆8000億円、16年度は2兆4000億円少ない34兆4000億円に抑制した。
17年度は、高齢化に伴う社会保障費の増加などで、一般会計の歳出総額が過去最高の97兆円台となる見通しだ。ただ歳入は、税収が16年度の当初見積もりを約1000億円上回る57兆7000億円程度、日銀からの納付金などの税外収入も前年度(4兆6000億円)より増えることから、新規国債発行額を34兆4000億円より数百億円抑える方向だ。
しかし、税収頼みの財政運営には限界も見える。16年度の税収については、円高による企業業績の低迷などを背景に、見積もりを当初の57兆6000億円より1兆7000億円少ない55兆9000億円程度に下方修正。財源不足を補うため、16年度第3次補正予算案で赤字国債を発行する方針だ。