2016.12.17 05:00
2017年度の政府予算案は財政健全化の指標である基礎的財政収支が5年ぶりに悪化し、赤字額が11兆円程度に拡大する見通しとなったことが16日分かった。税収が伸び悩む一方、政策経費が過去最大の74兆円前後に膨らむためだ。借金である国債の新規発行額は16年度当初予算比でわずかに減らす方向だが収支改善に至らず、国と地方の全体で20年度に黒字化する政府の目標は、達成が一段と困難になった。
基礎的財政収支は、政策経費を借金に頼らず税収などでどれだけ賄えるかを示す指標。安倍政権は12年度に24兆8000億円あった赤字を毎年減らし、16年度は10兆8000億円まで縮小させたが、17年度でのさらなる改善は見込めない情勢だ。
22日の予算案決定に向け、歳出、歳入両面の調整を進めているが、経済成長に頼った財政再建路線の限界が浮かび上がる結果となりそうだ。税収は企業業績の減速が響いて厳しい状況だ。政府は16年度の見積もりを55兆9000億円とし、当初予算で想定した57兆6000億円から減額補正する方針。17年度も16年度当初比で微増にとどまる見通しとなっている。
政策経費が16年度当初の73兆1000億円から膨らむのは、社会保障費が高齢化に伴い5000億円増えるのが主因。特別会計に繰り入れる地方交付税交付金が15兆円台半ばまで増えることも影響する。
一方、政策経費の枠外にある国債費は、借金の利払い分を積算する際の想定金利を16年度の年1.6%から1.1%へ下げることにより大幅に抑制できる。このため、財源不足を穴埋めする新規国債発行額は34兆円台前半とし、当初予算ベースでは7年連続で減らせる見通しとなった。