2016.12.9 05:00
財務省が8日発表した10月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同月比22.7%増の1兆7199億円だった。黒字額が前年を上回るのは5カ月連続。原油安で輸入額が縮小し、貿易収支の黒字が拡大したことが主因。
経常収支の黒字は28カ月連続で、うち輸出から輸入を差し引いた貿易収支の黒字は約2.9倍の5876億円。輸出は9.4%減の5兆7479億円にとどまったが、輸入が15.9%減の5兆1604億円と落ち込み、収支が改善した。
訪日外国人観光客の伸びが続き、旅行者のお金の出入りを示す旅行収支の黒字は13.8%増の1138億円となった。知的財産権等使用料の黒字幅も拡大したことでサービス収支が改善し、赤字幅が縮小した。
海外投資からの収益動向を示す第1次所得収支は14.8%減の1兆4696億円だった。石油輸出国機構(OPEC)の減産合意による原油価格の上昇について、財務省は「現在の価格を維持すれば、もうしばらくは貿易収支の押し上げ要因になる」としつつも「さまざまな要因に左右されるので今後の見通しは難しい」とした。