ロシア政府、制裁対象外の開発銀行を活用 回避策明示、日本の融資促す

 ロシア政府が日露の経済協力交渉で、欧米の経済制裁の対象にならない「ユーラシア開発銀行」(EDB)を経由したロシア企業向け融資を提案していることが7日、分かった。EDBにはロシアが6割超を出資しており、制裁の回避策を具体的に示して融資に慎重な邦銀の譲歩を引き出す狙い。

 EDBは、ロシアとカザフスタン両政府が共同で設立。ロシアの国営銀行の多くは欧米の経済制裁の対象だが、国際金融機関のユーラシア開発銀は含まれていない。

 関係者によると、ロシア企業への融資は、国際協力銀行(JBIC)や日本の金融機関がロシアの銀行に融資し、その資金を日露の経済協力事業に関わる現地の企業に回す「ツーステップローン」の仕組みを取り入れ、リスクの低減を図る。ロシア政府は融資の受け入れ先としてEDBのほか、制裁対象ではない複数のロシアの地銀も日本側に提示したもようだ。

 ロシア政府は、制裁対象の国営銀行による保証や協調融資のほか、国営銀行の海外子会社の活用に実績があり、日露経済協力でも実施可能と、これまでの協議で説明。ロシア政府による融資への保証も「協議の余地がある」としている。

 日本政府は、各事業の規模や進捗(しんちょく)に応じ、JBICだけでなく、民間金融機関を使った融資が必要と強調。ロシア側の提案に対し、15、16日の日露首脳会談に向けて事業ごとに融資方法を検討し、具体化する方向で調整を進める。融資の過程で制裁対象の銀行が関わる場合は、欧米当局とも協議する。