【上海=河崎真澄】不動産市況が高騰している中国で、上海市や広東省深セン市など全国35都市の住宅価格が深刻な下落リスクにさらされていると警告した報告書を、政府系シンクタンクが2日までにまとめた。
中国紙、上海証券報によると、この報告書は中国社会科学院に属する財経戦略研究院が作成した「住宅発展報告2016~17」。不動産市況が局所的に過熱しているとして、上海や深センに加え北京市や天津市、江蘇省南京市など、合わせて10都市に特に警戒を呼びかけた。今後の住宅市況については「短期的に調整色が強まる」と予測している。
中国の住宅価格は2014年に全土で下落したものの、15年半ばから回復に転じた。中国国家統計局の発表によると、今年10月の新築住宅価格は主要70都市のうち、62都市が前月に比べて上昇。一部では前年同月比で30~50%もの上げ幅となり、過熱していた。
不動産向け融資が大半とみられる金融機関の不良債権は、中国政府の6月発表分だけで1兆9600億元(約32兆円)に上る。住宅価格が下落に転じれば評価額が目減りし、不良債権が一段と膨らむ恐れがある。