トランプ次期米大統領が財務長官にスティーブン・ムニューチン氏、商務長官にウィルバー・ロス氏を指名する方向となり、米次期政権の主要経済閣僚が固まった。メンバーの発言や行動は「保護主義」など「米国第一」の考えが目立つ。こうした方向性を強行すれば、日本の国内総生産(GDP)が最悪1%超押し下げられるというシンクタンクの試算も現実味を帯びかねない。(山口暢彦)
30日の東京株式市場は、日経平均株価の終値が前日比1円44銭高の1万8308円48銭と3営業日ぶりに反発。円ドル相場は午後5時現在、前日比41銭円安ドル高の1ドル=112円72~73銭で取引された。トランプ氏が掲げる大規模な減税などによる米経済好転への期待から、円安株高の基調が続いている。
ただ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「こうした期待感は短期的で、いつはげ落ちるか注意する必要がある」と警告する。
トランプ氏の経済政策の公約で主導的な役割を果たしたのはムニューチン氏で、実際の政策策定でも中心になるとみられる。
だが、米両院の多数を占める共和党は財政赤字拡大に反対。政策を立法にこぎつけるためムニューチン氏らは譲歩を迫られるとの見方も強い。財政政策が小規模になれば市場の失望を招き「再び円高ドル安に向かいかねない」(小林氏)。