【ワシントン=小雲規生】トランプ次期米大統領が発表したビデオメッセージで、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を表明したことは、次期政権の通商政策の軸が既存の自由貿易体制への批判となることを示している。
また、選挙戦で訴えてきた「米国第一主義」を貫く意向も表明した。エネルギー政策についてトランプ氏は、シェール開発や石炭産業への規制緩和を打ち出したからだ。今月発効した地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」で、オバマ政権が約束した温室効果ガス削減目標の達成より、米国での雇用創出を優先させる「トランプ流」を明確にした格好だ。
ただしTPP離脱と同じく、「就任初日」に表明するとしてきた北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉表明や、中国の「為替操作国」指定の手続き開始に関し、ビデオメッセージでは言及していない。
発効から20年以上たつNAFTAの見直しや、世界第2の経済規模を持つ中国との関係悪化がもたらす影響は見通せず、より慎重な検討を進めているものとみられる。